責任ある立場

 僕は東京に今住んでいます


 東京での生活にはだいぶ慣れました
 それはあの陰惨な自分の青春から
 解放されたと言うことでもあるのです

 僕は自立しなければならなかった


 神を冒涜するような行為に汚されたこの躯と心は恐らく一生浄化されないだろうと、心の中では悔やみつつも、自分を正当化することでしか生きていけないと言うことにも、思い悩んでいました。
 母を憎む気持ちはもう無くなっていました

 なぜでしょう・・

 神を教えてくれたのもお母さんだし、人間が堕ちるものだと、安心を与えてくれたのも、お母さんでした


 だけど、僕の性癖はきっと後戻りのない道を選んでしまっている。そのことが心のどこかにこびりついていることは、よそよそしく認識していました。
 お母さんとのことはすべて僕に反動的に働いていました。
 お母さんがなぜ僕を解放したのかは未だにわかりません。その答えは僕は知らなくてもいいと思っていました。
 僕は自分の存在のために自分自身生きなければならないと言う思いの上に成り立っていました。
 仕事をすると言うことは僕にいろいろなことを教えてくれました。
 世の中は一面的なことでは成り立っていないこと。
 それがもっとも強く自分自身で勝ち取ったことであると思えることでした。
 それは洗脳を自分自身で解くことが出来たといううぬぼれにもつながりました。
 僕はとても、積極的に誠実に仕事をこなし、職場での信頼は絶大なものになるほどふくらみました。
 僕を便器にしたお母さんを
 僕と相姦したお母さんを
 僕がお母さんを殺せないと知っているお母さんを
 僕無しで生きていかせることが僕には出来たのです
 自分の本来のまっとうな生き方を見つけることが出来たのだと誤解し始めていたのです。
 そのことが、僕を少し傲慢にしていったのかもしれません

 臥薪嘗胆という中国の諺のように屈辱を乗り越えて僕は立世した。
 そう思っていました。


 相変わらず鬱蒼とした劣情にまみれた林の中で四面楚歌であることに気づきもせずに・・・・

僕はダブルスタンダードを装備して、生ある限り続くどろどろの被虐の欲望にさいなまされることをごまかしていました

ぼくは職場での信頼を得たものの、それは実は自分の中でまやかしであると思っていました。自分の中でいつごまかしであることがばれるのか人知れずびくびくしていたのです。
でも、僕の虚勢を誰も虚勢とは思っていませんでした
僕は僕の暗黒を誰かに発見されるとは思っていませんでした
でも、誰にも見いだされない日々は僕の生を無情で無価値なものにしていました。僕は生きる輝きをまやかしの生活の中で完全に見失っていたのです。

そんな輝きはぼくはやがては時間の流れの中に浄化されると思っていました・・・

暑い夏の日でした
僕の仕事のプロジェクトにどうしても本社の応援が必要になり、女性社員が派遣されてきました。
噂では彼女は相当のやり手で、彼女が派遣されると言うことはプロジェクトそのものが本社に移行される徴であるようなことを上司のに仄めかされました。
いくら僕が優秀で良い企画を動かしても、それが無駄になることを上司は危惧していました
しかし、部長はすくなからずの期待を僕に持っていました。僕はそんな部長のためにも、この仕事を支社の枠の中で成就することを胸に秘めました。

「はじめまして、藤澤美香です」
彼女の最初の言葉でした
とてもキーの高い、でもとても落ち着いた揺るぎない声でした。
意志的な強い瞳とスカートからのびる凶器のように美しい脚線に僕はプライドと裏腹に震えました。同時にこんな女に自分の仕事に口出しされたくない思いが募りました。
仕事だけは僕を裏切らなかった思いがますます僕のプライドを助長しました。

耳にした話では、彼女数年前まで大手の自動車メーカーのイベントコンパニオンもやっていたとのことでした

二つのスタンダードが僕に中で渦を巻く毎日が始まりました

二元的にしか生きていけない僕は
所詮苦しみもがき喘ぎ切なさの中で息を殺して泣きながらしか生きていけない男であることを再認識するしか有りませんでした。

当初は僕は部下達のバックアップもうけて彼女に対して優位でした。
彼女の手落ちを探して彼女のイニシアチブをつみ取ろうとさえ思っていました。
でも彼女はまったく抜け目のない才女でした。
まるで僕を泳がせるかのように僕の冷たい態度に対応していました。
端から見て彼女がとても正当で仕事に対してとても誠意的であるかのような印象を生んでしまうのが、僕にとっての一番の痛手でした。
部下の彼女に対する扱いが好意的になればなるほど、僕は引き裂かれるような思いに陥るのでした。
部下達はもちろん僕を見捨て始めているわけでもないのに、僕の被害妄想は意識すればするほど膨大にふくれあがり始めました。
実際彼女は誠意的でした。僕のプライドがそれを無意味に否定し愚弄にも近い態度をとらせるのでした。
美香は僕との関係を旨くやろうといろいろと考えているみたいでした。
あくまでも僕は上司なわけですから、ぎりぎりのラインを作って僕をたてるこを心がけているようでした。
しかし、彼女のそう言った好意的な努力も彼女の才能がある故に僕は受け止めることが出来ませんでした。
彼女の僕を見る瞳が日に日に好意的な物から軽蔑的な物に変わるのを僕は感じ取っていました。
そのことは僕の淫蕩で劣情的な血の巡りを全身に通わし始めるのでした。

やがて僕は彼女のことを想うようになりました。
彼女の指先のこと。足首のこと。

僕の矛盾がまた始まったのです・・・


微かなな煌めき、どろどろに澱んだ淫蕩な流れのほとりに芋虫が転がりのたうっていたのです。。。

toいたずら電話



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